皆さんこんにちは。
山口県岩国市を拠点に全国で商業施設や学校・工場などで保温・板金工事を手掛けている沢井保温工業株式会社です。
配管や設備の長寿命化・省エネ・安全性を支える「ラッキング工事」をご存じですか?
本記事では、ラッキングの基本的な意味や効果、使用される場所や素材、施工手順、さらに定期メンテナンスの重要性まで、現場で役立つ実践的な知識をわかりやすく解説します。
■ ラッキングとは?
ラッキングとは、主に配管やダクトの保温材を金属のカバーで覆う作業のことを指します。建築現場や空調設備工事などで使われるこの技術は、「板金工事」の一種でもあり、断熱や結露防止、美観の向上を目的としています。
この作業に使用されるカバーは「ラッキングカバー」と呼ばれ、ステンレスやガルバリウム鋼板など、耐久性・耐熱性の高い金属素材が一般的です。屋外で使用されることも多いため、雨風や紫外線への耐性も重要なポイントになります。
また、ラッキングはただ外見を整えるだけではありません。保温材や配管を外部からの衝撃や劣化から守り、施工後の性能維持にも関わってきます。用途は空調配管や冷温水管、蒸気配管など多岐にわたり、サイズや形状に応じた柔軟な対応が求められる点も特徴です。
建築や設備に関わる現場では、ラッキングの有無がその後のメンテナンス性や安全性に影響することもあり、非常に重要な工程といえます。
■ラッキングの目的と効果
ラッキングは、ただ配管やダクトを覆う作業ではありません。機能性と安全性を確保するための重要な工程です。ここでは、ラッキングが果たす主な4つの役割について解説します。
・保温
ラッキングの最大の目的の一つが「保温」です。温水や蒸気が流れる配管に保温材を巻いた後、その外側を金属カバーで覆うことで、熱が外へ逃げるのを防ぎます。これにより、エネルギー効率が向上し、空調や給湯設備の性能を保ちやすくなります。断熱材だけでは耐久性に不安があるため、ラッキングによる保護が不可欠です。
・保冷
冷却水や冷媒が通る配管では「保冷」が目的になります。外気との温度差で発生する結露を防ぐことが主な目的で、これにより周囲の機器や建材の腐食、カビの発生なども抑制されます。ラッキングによって断熱材の効果を維持し、冷却性能を安定化させる効果が期待できます。
・防音
空調ダクトや蒸気配管では、内部を流れる流体の音や振動が問題になることがあります。ラッキングによって断熱材の外側をしっかりと覆うことで、遮音効果が高まり、騒音対策にも貢献します。とくに病院やホテルなど静音性が求められる施設では、この効果が重視されます。
・美観と安全性の向上
ラッキングによって露出した断熱材や配管を見た目よく整えることができます。施工現場では「仕上がりの美しさ」も品質の一部と見なされるため、外観にこだわる建物では欠かせません。また、鋭利な断熱材の端部や露出した部分を覆うことで、作業者や通行人のケガ防止にもつながり、安全性が向上します。
■ラッキングの施工方法
ラッキングの施工には、材料の選定から加工・取り付けまでいくつかの手順があり、正確さと丁寧さが求められる作業です。一見すると「金属カバーをかぶせるだけ」のように見えるかもしれませんが、実際には正確な採寸と丁寧な加工が求められる専門的な作業です。以下のようなステップで進められます。
①保温材の取り付け
まず最初に、対象となる配管やダクトに保温材を巻き付けます。これは断熱や結露防止のために欠かせない工程で、保温材としてはポリエチレンフォームやグラスウールなどが使用されます。配管の太さや使用環境(屋内・屋外)に応じて、材質・厚み・巻き方が変わります。
②寸法の測定(けがき)
次に、ラッキングカバーを正確に加工するため、保温材の上から配管の長さや曲がり部分(エルボ)を測定します。この作業を「けがき」と呼び、仕上がりの精度を左右する重要な工程です。
③金属カバーの切り出し・加工
測定した寸法をもとに、ステンレスやガルバリウム鋼板などの板金材をカットし、必要に応じて曲げ加工や穴あけを行います。手作業で行う場合も多く、曲がり角・分岐点などは特に技術が必要です。
④カバーの取り付け
加工したカバーを配管の上に被せ、スライドさせるように位置を合わせて取り付けます。複数のパーツを使う場合は、接続部に重なりができるようにして、水の侵入や空気の漏れを防ぎます。
⑤固定・仕上げ
最後に、ステンレスバンドやビス、専用のテープでしっかりと固定します。特に屋外施工の場合は、耐候性のある素材や強力な固定具を使うことが推奨されます。仕上がりのチェックでは、隙間や段差がないか、美観が損なわれていないかを確認します。
・よくある施工ミス
ラッキングでは「隙間や段差がある仕上がり」や「寸法ミスによるカバーのずれ」などが代表的な失敗例です。これにより、雨水の侵入や熱の逃げ、結露の発生といった効果の低下や劣化の原因になることがあります。また、カバーの固定が不十分だと風で外れたり、内部の保温材が露出してしまうことも。施工時は強度・密閉性・美観の3点を重視することが重要です。
■使われる材料と価格相場
ラッキングに使用される材料は、配管の用途や設置場所(屋内・屋外)によって選定されることが多く、素材の選び方によって施工の仕上がりや耐久性が大きく変わります。また、材料費は施工費用全体の中でも大きな割合を占めるため、適切な価格相場を知っておくことも重要です。
・ラッキングカバーの種類
ラッキングに使われるカバー材にはいくつかの種類がありますが、代表的なのは次の3つです。
- ステンレス:耐久性・耐熱性に優れており、屋外でも長期間使用できます。サビに強く、メンテナンス頻度を抑えられることから、コストは高めですが人気の素材です。
- ガルバリウム鋼板:耐食性に優れ、ステンレスよりも軽量で安価。住宅や中規模施設で多く使われています。
- カラー鋼板:外観を重視したい場合に選ばれる素材で、アイボリーやシルバーなど色付きのものがあります。外装と調和させたいときに有効です。
素材の選び方は、温度条件や設置場所、仕上がりの見た目、予算に応じて最適なものを選択するのがポイントです。
・保温材とその費用感
ラッキングの内側に施工される保温材は、温度管理や結露防止に不可欠な部材です。主に使われるのは以下のような素材です。
- グラスウール:断熱性が高く、価格も手頃。耐火性にも優れており、広く利用されています。
- ポリエチレンフォーム:軽量で柔軟性があり、加工しやすいため、細かい配管にも対応可能です。
- ロックウール:高温対応が必要な蒸気配管などに適しており、工場設備などでよく使われます。
保温材の価格は厚みや長さ、断熱性能(JIS規格など)によって変動しますが、1メートルあたり数百円〜数千円が一般的です。また、保温材の上から施工するラッキングカバーのサイズに影響を与えるため、材料同士の相性も考慮する必要があります。
■施工会社の選び方
・自社施工と外注の違い
一般的に、自社施工を行う会社は施工全体を自社で管理するため、スケジュール調整や品質管理がしやすく安心感があります。さらに、その中でも特に安心できるのが「自社で加工工場を所有している会社」です。
自社加工工場があると、材料の仕入れから板金の切断・曲げ加工まで一貫して社内で行えるため、外注コストがかからず、価格を抑えやすいだけでなく、注文から施工までの対応も非常に早くなります。また、加工の精度や仕上がりの品質を直接コントロールできるため、細かい形状やサイズの調整にも柔軟に対応可能です。結果として、耐久性や断熱性能などの施工効果が高まるため、長期的な満足度にもつながります。
自社で加工会社を保有されている会社を探している方は下記をご覧ください。
沢井保温工業の板金加工場はこちら
一方、外注の場合は、専門の板金工事業者に施工を依頼するため高い技術力を期待できますが、外注費用が上乗せされることが多く、価格が割高になる傾向があります。また、施工までの期間が長くなる場合もあるため、スピード重視の現場では注意が必要です。
■まとめ
ラッキングは配管やダクトの保温・保冷、防音、美観向上などの重要な役割を担う工事です。施工には正確な寸法取りや素材の選定、丁寧な板金加工が求められ、これが断熱効果や耐久性、安全性に直結します。施工方法や使われる材料の違いを理解し、適切な施工会社を選ぶことが大切です。
自社施工の中でも、特に加工工場を持つ会社は、価格面で有利で迅速な対応が可能なため、コストパフォーマンスと品質の両面で安心できます。一方、外注も高い技術力を期待できるため、施工内容や予算、工期に応じて最適な選択をしてください。
■保温工事に関しては沢井保温工業にお任せください!
沢井保温工業株式会社は山口県岩国市を拠点に、全国の商業施設・学校・工場・公共施設などで保温工事や板金工事を手がけています。
私たちは、保温工事と板金工事を一貫して対応できるプロフェッショナル集団です。自社加工による保温材や板金の加工・販売にも対応しており、中間マージンを抑えたコストメリットとスピーディーな対応を両立。さらに、現場管理まで含めたワンストップ体制で、品質・納期・コストすべてにおいてご満足いただけるサービスを提供しています。
長年の経験を活かし、現場ごとの最適な材料選定から加工、搬入までトータルでサポート。お客様のニーズに沿ったご提案と丁寧な対応をお約束します。保温工事・板金工事に関するご相談やお見積もりは、ホームページよりお気軽にお問い合わせください。