断熱材と保温材はどう違う?プロが教える最適な使い分け方!

皆さんこんにちは。

山口県岩国市を拠点に全国で商業施設や学校・工場などで保温・板金工事を手掛けている沢井保温工業株式会社です。


「保温材と断熱材って、名前は似ているけど実際にはどう違うの?」「どっちを使えば効率的なの?」と感じたことはありませんか?


このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。特に、配管工事や空調設備に関わる現場では、用途を誤ると結露や熱損失の原因になることもあります。

実は、保温材と断熱材は“熱を扱う目的”が異なり、環境や温度条件によって選ぶべき素材が変わります。


そこで今回は、保温材と断熱材の違いから、配管や屋外環境に合わせた最適な素材の選び方までをわかりやすく解説します。

配管設備の施工に携わる方や、工場・建物の省エネ対策を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。



■保温材と断熱材の違い



保温材と断熱材はどちらも「熱を扱う材料」ですが、その役割や使われる環境は異なります。特に配管や建物の施工を行う現場では、目的に応じて正しく使い分けることが重要です。ここでは、両者の基本的な違いと使い分けの考え方を整理します。


・熱を保つ仕組みと遮る仕組み

断熱材は、外部からの熱の移動を「遮る」ことを目的とした材料です。住宅の壁や天井に使用され、夏の暑さや冬の冷気を室内に伝えにくくする働きがあります。代表的な断熱材にはグラスウール(ガラス繊維)やロックウール(鉱物繊維)、ウレタンフォームなどがあり、空気を多く含む構造によって熱伝導率を下げています。


一方で保温材は、配管内部の熱を「逃がさない」ことを目的にしています。例えば、給湯管や蒸気配管などでは温度を一定に保つ必要があるため、保温材を巻き付けて熱損失を防ぎます。断熱と保温は似ていますが、前者は外部環境からの遮断、後者は内部の温度維持という違いがあります。


・配管・建物での使い分け

建築物の断熱材は、室内の快適性を高めるために設計段階から組み込まれます。外壁や床下に充填する「充填断熱工法」や、構造の外側に張る「外張断熱工法」など、建物全体の熱環境を調整する方法が取られます。


一方、配管用の保温材は施工現場で選定され、管の温度条件や設置場所に合わせて種類が変わります。例えば、屋内の冷媒配管にはポリエチレンフォーム、蒸気配管には耐熱性の高いケイ酸カルシウムやロックウールが使われます。保温材の選定では、温度帯・湿気・防露性などの条件を考慮することが大切です。


・間違いやすい防露材との違い

保温材と混同されやすいのが「防露材」です。防露材は、配管や設備表面の温度差によって発生する結露(水滴)を防止するための材料です。特に冷水管や冷媒管では、外気との温度差が大きいため、結露による腐食や断熱性能の低下を防ぐために防湿層付きの保温材が使われます。


■配管保温材の種類と特徴



配管に使用される保温材は、温度条件や設置環境に応じて適切な種類を選ぶ必要があります。材料ごとに熱伝導率・耐熱性・耐久性が異なるため、性能を理解しておくことが大切です。ここでは代表的な配管保温材の種類と特徴を解説します。


・グラスウールとロックウール

グラスウールはガラスを細い繊維状に加工した保温材で、軽量かつ断熱性に優れています。耐熱温度は約250℃程度まで対応でき、一般的な空調配管や給湯配管などに幅広く使われています。吸音性にも優れているため、防音を求める現場でも効果を発揮します。ロックウールは玄武岩などを原料とした鉱物繊維で、グラスウールよりも耐熱性が高く、高温配管にも使用可能です。例えば蒸気配管など、温度が300℃以上になる設備ではロックウールが選定されます。どちらも施工が容易でコストも比較的抑えられるため、工業・建築分野問わず幅広く利用されています。


・発泡スチロールとポリエチレンフォーム

発泡スチロール(ポリスチレンフォーム)は、軽量で加工がしやすいことが特徴です。熱伝導率が低く、低温の保冷配管にも適しています。ただし、耐熱性があまり高くないため、高温配管には向きません。ポリエチレンフォームは発泡プラスチックの一種で、耐水性・防湿性に優れています。屋内の冷媒管やエアコン配管などで一般的に使用され、結露防止にも効果的です。柔軟性が高いため、複雑な配管形状にも対応しやすい点がメリットです。


・蒸気配管向け高温用保温材

蒸気配管では、数百度に達する高温環境に耐えられる保温材が求められます。主にケイ酸カルシウムやフォームグラス、フェノールフォームなどが使用されます。ケイ酸カルシウムは耐熱性・耐火性に優れ、プラントやボイラー設備での施工に最適です。フォームグラスはガラスを発泡させた素材で、防湿性と圧縮強度が高く、屋外や高温高湿環境でも性能を維持します。


このように、配管保温材は「温度帯」「設置環境」「コスト」を総合的に考慮して選定することが重要です。適切な材料を使用することで、エネルギー効率を高め、設備の長寿命化とメンテナンスコストの削減につながります。


■屋外配管での保温材選び



屋外配管は、直射日光・雨・風・湿気など、屋内よりも厳しい環境にさらされます。そのため、屋外に適した保温材を選ばないと、断熱性能の低下や劣化、結露、さらには配管の腐食を招く恐れがあります。ここでは、屋外で使用する際の注意点と対策を紹介します。


・耐候性・防水性の確保ポイント

屋外配管に使用する保温材では、まず「耐候性」と「防水性」が重要です。耐候性とは、紫外線や気温変化に対して劣化しにくい性能のことです。例えば、グラスウールやロックウールのような繊維系素材は断熱性に優れていますが、湿気に弱いため、表面をアルミ箔や塩化ビニル(PVC)製のカバーで保護します。


また、防水性を確保することで、内部に水分が浸入して結露やカビの発生を防ぎます。特に雨水が配管内部まで入り込むと、保温材の断熱性能が著しく低下するため、防水テープや被覆材による処理が欠かせません。屋外では、素材そのものの性能だけでなく、仕上げの施工品質も重要になります。


・紫外線や雨への対策方法

屋外環境で最も大きな劣化要因となるのが紫外線です。発泡プラスチック系の保温材(ポリエチレンフォームや発泡スチロール)は、紫外線を浴びると変色やひび割れを起こしやすいため、必ずアルミラミネートやカバー材で覆います。また、雨による湿気の侵入を防ぐために、防水性の高い被覆材(トタン、ステンレス、PVCシートなど)で仕上げることが推奨されます。


■保温工事で失敗しない選定のコツ



保温工事では、単に「断熱性能が高い材料を使えば良い」というわけではありません。温度条件・設置環境・コスト・耐久性など、複数の要素を総合的に考慮する必要があります。ここでは、現場で実際に役立つ保温材選定のポイントを整理します。


・温度帯と施工環境の確認

まず重要なのは、対象となる配管の温度帯を正確に把握することです。例えば、給湯配管や蒸気配管などの高温環境では、ケイ酸カルシウムやロックウールなどの高耐熱素材が適しています。一方、冷媒配管や空調設備など低温環境では、ポリエチレンフォームや発泡プラスチック系の保冷材を使用します。


また、屋外か屋内かによっても選定基準は変わります。屋外では紫外線・雨水対策を考慮した被覆材が必要で、屋内では結露防止のため防湿性能が求められます。施工現場の温度差や湿度条件を見誤ると、保温材内部に水分が侵入して断熱性が低下するおそれがあります。


・素材別コストとメンテナンス性

コストだけで素材を選ぶと、長期的なメンテナンス費用が増える場合があります。たとえば、発泡スチロールやポリエチレンフォームは初期費用が安く施工もしやすいですが、耐熱性や耐候性には限界があります。一方で、ロックウールやフォームグラスは価格が高めでも、耐久性が高くメンテナンス頻度を減らせます。


また、施工後のメンテナンスも重要です。定期的な点検を行い、カバー材の破損や結露跡を早期に発見・補修することで、長期的な断熱効果を維持できます。保温工事は一度施工したら終わりではなく、継続的な維持管理を前提とした設計が求められます。


■まとめ



保温材と断熱材はどちらも熱の移動を抑える材料ですが、目的が異なります。断熱材は外気からの熱を遮り、住宅などで室内環境を快適に保つために使われます。一方、保温材は配管内の温度を維持し、熱損失を防ぐことが主な目的です。どちらも省エネルギーや設備の効率維持に欠かせない存在です。


保温工事の現場では、温度条件や設置環境に応じた素材選定が重要です。例えば、高温配管にはロックウールやケイ酸カルシウム、低温配管にはポリエチレンフォームなどを使用します。また、屋外では耐候性と防水性を確保し、紫外線や湿気から保護する仕上げが欠かせません。


保温工事での品質を高めるには、適切な材料の理解と丁寧な施工が不可欠です。隙間のない施工や防湿対策を徹底することで、結露や腐食を防ぎ、長期的な性能維持が可能になります。保温材の正しい選定と施工が、省エネと設備寿命の延長につながる重要なポイントです。


■保温・断熱工事のご相談は沢井保温工業へ!



沢井保温工業株式会社は、1988年の創業以来、配管・ダクト・設備の保温や板金工事を専門に行ってきました。配管の熱損失防止や結露対策、断熱によるエネルギー効率向上など、現場の条件に合わせた最適な施工をご提案しています。自社での加工から現場施工まで一貫対応しているため、スピーディーで高品質な仕上がりを実現できます。


当社では、経験豊富な職人と若手スタッフが連携し、工場・プラント・ビル設備など、さまざまな現場に柔軟に対応。細部まで丁寧な施工を心がけ、仕上がりの美しさと長期的な性能維持の両立を目指しています。保温材やカバー材の加工・販売も行っており、トータルでの施工サポートが可能です。


「どんな保温材を選べば良いかわからない」「屋外配管の結露を防ぎたい」など、どんな小さな疑問やお悩みでもお気軽にご相談ください。現場調査からお見積もりまで丁寧に対応し、最も効果的な施工プランをご提案いたします。配管や設備の保温・断熱工事なら、信頼と実績の沢井保温工業にぜひご相談ください。


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