排煙ダクトの断熱に必要な厚みとは?国交省の基準と材料選びのポイントを徹底解説

New

皆さんこんにちは。

山口県岩国市を拠点に、全国で商業施設や学校・工場などで保温・板金工事を手掛けている沢井保温工業株式会社です。


排煙ダクトの施工や設計を行う際に、「法的に正しい断熱材の厚みはどれくらいか」「天井裏が狭くて規定の厚みが収まらない場合はどうすればいいのか」など、疑問や不安を抱えている人もいるでしょう。


排煙ダクトは火災時の安全を左右する重要な設備であるため、国土交通省の仕様に基づいた厳密なルールを守る必要がありますが、正しい材料選びと施工のポイントを押さえることで、現場のスペース課題をクリアしつつ確実な施工を進めることが可能です。


この記事では、適切なダクト工事を計画したい方に向けて、排煙ダクトに必要な断熱材の厚みや国交省が定める基準、用途に合わせた材料の選び方や施工要領について解説します。


現場での管理に携わる現場監督や設備設計者の方はもちろん、保温工事の知識を深めたい若手技術者にもわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。


■排煙ダクトの断熱基準



建物の安全を守るため、空気を排出する設備の施工には厳しいルールが設けられています。特に火災時に煙を外へ逃がす役割を持つ排煙ダクトは、人命に関わる重要な設備です。ここでは、現場で守るべき断熱の基準について解説します。


・国交省が定める仕様

排煙ダクトの断熱材に関するルールは、国土交通省が監修する公共建築工事標準仕様書などに細かく規定されています。火災が発生した際、ダクト内には非常に高温の煙が通ります。この熱が周囲の木材や配線に伝わると、火災が他の部屋へ燃え広がる延焼の危険性があります。


そのため、排煙ダクトには熱に強いロックウールという鉱物を繊維状にした断熱材を使用することが標準仕様となっています。グラスウールのような一般的なガラス繊維の材料ではなく、高い耐熱性を持つ製品を選ぶことが必須です。


厚みについても50mmなど指定されたサイズを確実に守り、専用の金具や鉄線で隙間なく固定して施工することが求められます。

参考:厚生労働省「公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版


・断熱が不要となる条件

排煙ダクトは原則として断熱工事が必要ですが、特定の条件を満たす場合は断熱が不要になる箇所もあります。例えば、ダクトが屋外に露出して設置されており、周囲に燃えやすいものがない安全な範囲である場合などです。


また、コンクリートで囲まれた専用のシャフトと呼ばれる縦長の配管スペースを通る部分でも、延焼のリスクが低いため断熱が省略されるケースがあります。


ただし、外壁を貫通する部分から屋内側へ1mの範囲などは、防火の観点から必ず厚みのある断熱材で保護することが法律や条例の規定で定められています。


設計図面や現場の状況を確認し、どこまでが必須でどこからが不要かを見極める作業が重要です。

参考:厚生労働省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版


■使用する断熱材の種類



ダクトの保温工事では、通る空気の温度や現場の環境に応じて最適な材料を使い分ける必要があります。間違った素材選びは結露や火災のリスクを高めるため、代表的な2つの断熱材の特徴を正しく理解しておきましょう。


・グラスウール

グラスウールは、ガラスを高温で溶かして細かい繊維状に加工した断熱材です。非常に軽量で柔らかく、工具で簡単に切断できるため、現場での作業性が高いというメリットがあります。


また、材料の単価も比較的安いため、一般的な店舗やオフィスビルの空調ダクトの保温工事に広く採用されています。繊維の間に空気を多く含むため優れた断熱性を発揮し、空気の音を和らげる消音効果もあります。ただし、湿気や水分に弱いという弱点があります。


そのため、多湿な空間や屋外の露出箇所に使用する場合は、表面をアルミガラスクロスなどのフィルムで覆ったり、板金カバーで被覆したりして水分の侵入を防ぐ処理が必須です。


・ロックウール

ロックウールは、玄武岩などの天然の岩石を高温で溶かし、繊維状に加工した断熱材です 。最大の特徴は、グラスウールを凌ぐ高い耐熱性と不燃性です。


おおよそ600度前後の高温環境にも耐えられるため、火災時に煙を排出する排煙ダクトや、工場の機械室を通る高温配管、飲食店の厨房排気ダクトなど、火災リスクが高い箇所には必ず選定されます。


法定の防火基準を満たす不燃材料として認定されている製品も多く、火災を防ぐために重要な役割を果たします。グラスウールと比較すると重量があり、加工の手間や単価が高くなる傾向があります。


吸水すると性能が低下するため、屋外での施工時には専用の粘着テープを用いて隙間なくつなぎ合わせ、金属製のカバーで保護する作業が求められます。


配管保温材の種類についてはこちらの記事も参考にご覧ください。

》配管保温材の種類と選び方|現場で役立つプロの徹底解説!


■ダクト別の適切な厚み



設備ごとに流れる空気の温度や役割が異なるため、それぞれ規定された厚みを守る必要があります。現場でよく扱う3つのダクトについて、基準となる寸法の違いを具体的に解説します。


・排煙ダクトの厚み

火災の煙を逃がすため、最も厳しい耐熱性が問われます。標準仕様書では、板厚1.6mm以上のダクトに50mm厚のロックウールを巻くことが基本です。


天井裏の狭い現場でこの厚みが収まらない場合、数ミリの薄さで同等の性能を持つ特殊な薄型断熱材を選び、限られた空間でも規定をクリアする工夫が求められます。


・空調ダクトの厚み

室内を快適に保つエアコンなどの空調設備は、熱を逃がさず結露を防ぐことが目的です。一般的にグラスウールを用い、屋内なら25mmから50mmの厚みが選ばれます。


冷たい空気が通る配管を薄い材料で覆うと、外気との温度差で表面に水滴ができ、天井のシミやカビの原因になるため適切な厚みの確保が必須です。


・OAダクトの厚み

OA(外気導入)ダクトは、屋外の新鮮な空気を室内に取り込むための経路です。冬場に冷たい外気が通ると、暖かい室内の空気と触れて激しい結露が起きるため、空調用より厚い50mmのグラスウールを採用するのが標準です。


温度差が大きい環境ほど分厚い被覆を施し、設備を守る設計が求められます。


排煙ダクト以外の厚みについてはこちらの記事もご覧ください。

》ダクト保温材の厚みはどう決まる?国交省仕様・単価・正しい施工手順


■ダクトの保温施工要領



断熱材の性能を最大限に引き出すには、正確な施工要領に基づいた作業が欠かせません。まず材料をダクトの外周に合わせて切断し、専用の接着剤や固定ピンを用いて表面に密着させます。隙間ができないよう、継手(つなぎ目)はアルミガラスクロスの粘着テープでしっかりと塞ぎます。


特に注意すべきは、配管が曲がるエルボ部分や、空気が分岐する箱状のチャンバー周辺です。こうした複雑な形状の箇所は隙間ができやすく、熱が逃げたり結露が発生したりする原因になります。


現場の形状に合わせて材料を細かく加工し、鉄線で強く縛って固定する丁寧な処理が必須です。さらに屋外や多湿な機械室などでは、雨水や蒸気から断熱材を守るために金属製のカバーで覆う板金作業を行い、設備全体の耐久性を向上させます。


■まとめ



排煙ダクトの断熱は、火災時の安全を確保するために欠かせない重要な工事です。国交省の仕様に基づき、熱に強いロックウールを適切な厚みで施工することが基本となります。


また、用途に合わせてグラスウールなどの材料を使い分け、結露や熱害を防ぐことが設備を長持ちさせるポイントです。特に複雑な形状の継手や、外部に露出する箇所は、隙間のない丁寧な仕上げが求められます。


基準となる厚みや素材の特性を正しく理解し、現場の状況に応じた最適な断熱対策を施すことが、建物の安全性を高めることにつながります。法令を遵守した確実な施工手順を徹底し、トラブルのない安全な設備環境を整えましょう。


■排煙ダクトの保温・板金工事をご検討中なら「沢井保温工業」にご相談ください!



沢井保温工業株式会社は、山口県岩国市を拠点に全国の商業施設や学校、工場などで保温・板金工事に携わってきた会社として、現場ごとの環境や用途に精通した確かな施工をご提供しています。新規工事・改修工事問わず、限られたスペースでも安全性と耐久性、そして美しい仕上がりを両立するプランニングが可能です。


当社は保温材の加工から現場での板金施工まで、自社工場で一貫して対応できる強みを持ち、中間マージンを省いたコストダウンや短納期化を実現しています。


専任の担当者が現地を細かく確認し、国交省の仕様や構造の制約を踏まえながら「確実な断熱性能」「隙間のない美しいラッキング」「現場に合わせた特殊加工」など、お客様の課題に合わせた最適な計画を丁寧にご提案します。


沢井保温工業は平均年齢30歳の若手スタッフを中心とした高い機動力を活かし、施工後のフォローや急なご相談にも迅速に対応。担当者が一貫してサポートするため、複雑なルールの確認が必要な排煙ダクトの工事でも安心してお任せいただけます。


現地調査やご相談は無料で対応していますので、「天井裏が狭くて規定の厚みが入らない」「どの断熱材を選ぶのが正解かわからない」など、気になる点は何でもお気軽にお聞きください。Webからのお問い合わせやご相談も受け付けております。


お客様の現場に寄り添いながら、より安全で確実な設備環境の実現を沢井保温工業が全力でお手伝いします。


▼関連記事▼

ダクト保温材の厚みはどう決まる?国交省仕様・単価・正しい施工手順

「排気ダクト保温 1m」はなぜ必要?結露と延焼を防ぐ理由・正しいやり方を解説


■施工事例はこちら